アメリカでの動物ボランティア

アメリカでも動物に関わるボランティアがたくさんあります。シェルター(保健所)では動物の世話をする人、掃除係、事務の手伝い、インターネット管理、動物病院の補佐、カメラマン、譲渡会やイベントでのヘルプなどたくさんありますが、それらはさらに細分化されています。例えば「動物の世話をするボランティア」も“犬専門” “猫専門”に分かれ、そこから“ゲージの中で犬と触れ合う専門” “トリミング専門” “子犬専門” “運動量の高い犬専門” “力の強い犬やトレーニングが必要な犬専門”と細かく分かれていきます。

ボランティア向けのドッググトレーニングのクラス
シェルターでボランティア向けに開催されるドッググトレーニングのクラス

細分化されたそれぞれのボランティアを掛け持ちする事は可能ですが、いずれの分野にもボランティアを始める前に定められた時間のトレーニングクラスを受講する事、そしてより高い技術や経験が求められるボランティア活動を希望する場合は、定められた時間のトレーニングクラスを受講したり、それまでのボランティアとしてのキャリア(日数)が必要になります。これらのミーティングやクラスの受講の義務付けは動物だけでなく、ボランティアの安全のためにも役立っています

シェルターのような施設を持たないアニマルレスキュー団体(動物愛護団体)では、動物の搬送ボラ、フォスターボラ(一時預かりのボラ)、譲渡会やイベントのボラやインターネット管理や経理、TNR活動などのボランティアを募集しています。レスキュー団体にも定期的なボランティアミーティングがあったり、犬のドッグトレーニングのクラスを受講することを必須条件にしているところもたくさんあります。またフォスターのような家庭で動物を預かるボランティアには、書類審査や面接、家庭訪問などの審査をしてからボランティアとして参加出来るかどうか決まってきます。

また災害時など、特別に動物救護活動に参加するボランティアも日頃から募集&育成しており、災害時に動物シェルターを迅速に発足させることが出来るよう、大きな動物愛護団体では定期的に災害時の動物救護セミナーを開いています。

このようなボランティアの講座やクラスは通常無料で開催されますが、実際にお金に変えると何百ドル何千ドルと言う価値のある知識であるとも言われており、クラスを受けた後、独立してドッグトレーナーやペットシッター、ドッグウォーカーになる人もいると聞きます。

アメリカの動物問題/終わりに

アメリカのバックヤードブリーダー(個人繁殖家)
地域によっては路肩に車を止めて子犬を販売する個人繁殖家を日常的に見かける場所もあります

ロー&ノーキルシェルターや生態展示販売をしないペットストア、不妊手術やマイクロチップ、地域猫活動の普及など、アメリカのアニマルレスキューをいろいろと伝えてきましたが、アメリカもまだまだたくさんの動物問題を抱えています。(アニマルポリスに関する質問をたくさん頂いていますが、アニマルポリスの有無や名称、活動内容や権限は自治体によって違うため、当方からアメリカ全土を網羅したお答えは出来ません。アメリカは50州の中に3000以上の自治体があり、それぞれに違いがあります。きっと別の自治体に質問されるとまったく違うアニマルポリスのお話が聞けると思いますが、私の知っている範囲ではアニマルポリスは普通、アニマルコントロール(以下AC)と呼ばれていて、積極的に動物保護活動をしていないAC、殺処分ありきで保護した動物をぞんざいに扱うAC、職員やオフィサーに気持ちはあっても、動物虐待の法律や条例がないために、取締りができないACなどが混在しています。またACにはポリスアカデミーを卒業し、警官と同じ権限を持っているアニマルコップもあれば、コミュニティカレッジと呼ばれるような専門学校に、数週間通うだけで資格を得ているオフィサーもいます。この場合は保護活動に制限があったり、逮捕する権限はありません。銃も所持できません。このように日本でイメージされているアメリカのアニマルポリスと、実情には州や自治体で大きな違いがあります。モチロンTV番組になるような活躍をしているACもあると思いますが、残念ながら私の住む自治体にアニマルポリスはいないし、活動している地域のACや条例は、動物にとって最適ではありません。ですので「アメリカのアニマルポリスの活躍を知りたい!」とリクエストを頂いても、私にはわからないのです^^;そのような訳で、アニマルポリスに対するご要望やご質問への返事は控えておりますが、日本に動物虐待や不適切な飼育を取り締まる細やかな条例や、部署が出来ることを心から願っています)

日本と同じ様に動物虐待やインターネットでの生態販売、自治体や地域によりアニマルレスキューへの取り組みや動物愛護意識にも大きな開きがあります。そしてアメリカならではの大規模なパピーミルやバックヤードブリーダー(素人繁殖家)、年間2万頭以上の犬が命を落としていると言われる闘犬問題も早急に解決が急がれる問題です。そして殺処分ゼロへと前進すると増える問題もあります。シェルターからの譲渡が浸透するのと比例して、罪悪感なくローキルシェルターに動物を持ち込む飼い主さんが増えたり、シェルターによっては殺処分ゼロを掲げるがあまり、適性検査やリハビリをきちんとしないで動物を譲渡してしまう施設もあります。ほかにも高額過ぎる医療費や訴訟問題などの関係で簡単に安楽死を決意する飼い主さんや獣医さんなど、解決しなければならない課題がたくさん残されています。動物愛護先進国の仲間入りをしたと言われるアメリカですが、その歴史はわずかに数十年で、日本の現状との違いはさほどないように感じることもあります。

このように現在進行形で進歩を続けるアメリカのアニマルレスキューだからこそ、日本でも取り入れやすく、参考になるのではと思います。

国という垣根を越えて、人と動物が共に住みやすい星になることを切に願います。

 

【注意】このテキストは2010年9月の情報です。告知なく変更や訂正をする事があります。また、文中アメリカと表現していますが対象はメリーランド州に限定しています。アメリカの動物に対する取り組みや考え方は州法や自治体、生活形態により違いがあるため、内容が全米に共通している訳ではありません。